親権者は変更できる?その変更方法と条件

法律上の親権の内容

親権とは成人になっていない子供に代わって親が行使できる権利のことです。親権は主に「財産管理権」と「身上監護権」と呼ばれる二つの権利から成り立っています。

まず一つ目の「財産管理権」は民法第824条で定められている権利で、子供の財産を親が代わりに管理する権利や、財産に関する法的な手続きを行う権利のことを指しています。具体的には子供名義の通帳や預金等を親が代わりに管理する場合等に、その「財産管理権」が必要になります。また原則的に未成年の子供は法律行為を行うことができません。したがってそういった子供の法律行為に対しての同意権も、この「財産管理権」に含まれている権利です。子供の法律行為とは、例えばアルバイトの労働契約時等に必要な法的な手続き等を指しています。

そして二つ目の「身上監護権」は、子供の近くで生活しつつ子供の養育をする権利と義務のことで、一般的に監護権と呼ばれることも多いです。

またこの「身上監護権」は更に、身分行為の代理権、居所指定権、懲戒権、職業許可権の4つに細分化できます。
身分行為の代理権は子供身分法上の行為を行う場合に必要になる親の同意権や代理権のことで、居所指定権は親が子供の居住場所を指定するための権利です。
懲戒権は自分の子供に対して親がしつけをする場合に必要な権利のことです。この権利は例えば叩くことや、押入れに入れること等の、一般的な大人に対して行えば法律に抵触するような行為を、自分の子供に対してはしつけとして行える権利のことを指します。(ただし、懲戒権については児童虐待にも繋がりうるためその是非については、議論が行われています。)
職業許可権は未成年の子供が、何らかの形で働く場合に親権者がその仕事を許可する権利のことです。

親権の変更方法とその条件

離婚時等は一般的に父母間の合意があるならば話合いのみで、どちらが親権者となるか決定することが可能です。
しかしながら親権者を決定した後に、やはり親権者を変更したいと気が変わったとしても、離婚時のような話し合いのみでの親権の移行をすることはできません。これは子供の精神衛生のために、子供の生活環境が簡単に変わらないようにするための配慮です。

したがってもし一度決定された親権を変更するためには、話し合いではなく「親権変更調停」という方法を選ぶ必要があります。この「親権変更調停」は家庭裁判所で行うことができ、その時に家庭裁判所調査官という人が、調停のために子供に関係する色々なことについて調査をします。それゆえに仮に父母の間で親権変更の同意があったとしても、家庭裁判所調査官が親権の移行が子供にとって、悪影響を及ぼすと判断した場合には却下されることがあるので注意が必要です。
このように「親権変更調停」は手続きさえ行えば必ず通るというものではありません。仮に父母間で親権移行の同意もなかった場合はその傾向は更に強くなるでしょう。

しかしながら仮に親権者側に親権を放棄する意思がなかったとしても、親権を移行させることが可能なケースがあります。それは主に、親権者がギャンブルや恋愛等を重視して子供を放置している場合、親権者が子供を虐待している場合、親権者が死亡してしまった場合等の3つのケースです。

「親権変更調停」では主に、どちらの親に育てられた方が子供の将来にとって利益があるのか、という点を重視して調査が行われます。したがって子供にとって現在の親権者との暮らしは適切ではないと、家庭裁判所が判断した場合は親権を変更させられる可能性があります。ただし注意点として、子供には直接関係がない事柄では親権を変更する理由にはならないので気を付けましょう。

例えば離婚の理由が父母どちらかの浮気だったとしても、子供の養育という観点ではあまり関係がありません。それゆえに浮気等をした有責配偶者であったからといって、「親権変更調停」において親権者として相応しくないということにはならないので、親権を変更する理由としては認められにくいのです。

親権に関する子供の意思

結論から述べると親権を変更する際の子供の意思は、ある程度までなら家庭裁判所の判断に反映されます。しかしながら子供の意思が反映されるかどうかには子供の年齢が大きく関わってきます。

子供の意思が反映されるには、ある程度の自我が形成されていると考えられる10歳前後であることが基本的な条件です。しかしながら子供の成長には個人差があるため、10歳より多少年が若くてもある程度の自我の発達が見られれば、その子供の意思が反映される場合もあります。

とはいえ10歳前後だと中にはどちらか片方の親に圧力をかけられた結果、怯えて本心とは違うことをいってしまう子供もいます。したがってそういったケースも家庭裁判所は考慮しているので、子供本人の意思だからといって、親権変更の絶対的な判断材料にはならないので注意が必要です。

ただし意思を示している子供の年齢が15歳以上だった場合は、殆ど大人と同じ判断能力があるとみなされるので、親権変更の際には大きな判断材料として扱われます。

家庭裁判所調査官が調査するポイント

親権を変更する際の「親権変更調停」では家庭裁判所調査官の評価が結果に大きく影響してきます。具体的な評価の決定は、子供との面談、家庭訪問による調査、学校への訪問等を参考に行われることが多いです。

他にも父母のそれまでの子供の接し方や、父母のどちらが主に監護養育をしていたのか等の調査。また子供を引き取った場合、どういった教育をするのかという父母への具体的なプランの聞き込みや、監護養育をできるだけの適性がある父母かどうかの裏付け調査等、様々な情報をもとに父母の親権者としての適性を調べます。したがって親権の変更をしたい場合は上記の家庭裁判所調査官が調査するポイントを意識して、できるだけ好印象を得られるようにしましょう。

ただし家庭裁判所調査官の人は上辺だけの対応に慣れている可能性が高いです。したがって質疑応答の際等にはむしろあまり着飾らない言葉で、子供に対する素直な気持ちを伝えた方が、結果的には好印象を得やすいでしょう。また経済的な情報について、正直に家庭裁判所調査官に打ち明けてもあまり問題はありません。何故なら家庭裁判所は父母の親としての適正を重視した判断を下すので、最低限親子で暮らしていける経済力があるのならば、父母の経済格差については重要視しないからです。

乳幼児の場合は母親が優先される場合がある


基本的には親権の変更をするにあたって、男女で条件に違いがあるということはありません。
ただし子供が乳幼児の場合は健全な成長に母性が必要になる傾向があるので、父親側に親権者としての大きな問題がなかったとしても、母親側に親権が移る場合があります。実際過去にはそういった母性が理由で親権が母親になったケースが存在します。

したがって子供が乳幼児の母親の方は親権を変更する際に、子供が乳幼児であるという点を論点にしてみると、調停を少し有利に進められる可能性があります。しかしながら親権を得る理由としては決定的とは呼べないので、どうしても親権を変更したい場合は別の切り口の理由も用意しておくとより調停を有利に進められるでしょう。

まとめ

離婚後等に一度決定してしまった子供の親権を変更するには、家庭裁判所で「親権変更調停」行う必要があります。この「親権変更調停」の結果には家庭裁判所調査官の評価が大きく影響します。また調査員の評価以外にも、子供自身がどちらの親と暮らしたいかという意思も判断材料にされます。ただしこういった意思を考慮してもらえるのは主に10歳前後の子供です。そして15歳以上の子供の場合はより意思が尊重されやすくなります。

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